時差なくコンテンツが届く今、世界とともにつくる|Helixesの最新海外プロジェクト事例
2026.08.07
Helixes Inc.のメンバーやそのマインドについて発信していく「Helixes.log」。
今回は、日本のアニメやマンガが配信を通じてほとんど時差なく世界に届くようになった今、その作品を世界へ送り出し、時に海外のチームと組んでものづくりをするmaxillaメンバー3名に、これまで手がけた海外プロジェクトの実際を聞きました。
コンテンツやIPの流通の変化
─海外での仕事はここ数年で増えてきている印象ですが、どういった流れや経緯があるのでしょうか。
メンバー 私が入社したのは2年前で、前職から北米のパートナーを増やしてきたのですが、私のいた分野でずっと課題だったのは、どれだけ増やしても海外を狙う顧客が日本側にいないことでした。面接でHelixesが海外の仕事を増やしたいと伺い、ここなら自分のやってきたことが活きると思いました。実際、入社後は海外向けの宣伝のご相談が続き、営業資料を重ねながら「Helixesは海外案件にも取り組んでいる」と少しずつ知ってもらってきました。田中(大地)さんや志村さんのように海外プロモーション・エンタメへの情報感度が極めて高い人と、共通の理解を持てたことは、海外案件の進展において重要な一歩となりました。
─ 日本発のコンテンツの海外での受け取られ方が変わってきた影響もかなり大きいのでは。
田中 それは間違いないですが、いちばん大きいのは、日本で人気が出た作品が海外に届くまでの時差がほぼなくなったことです。以前、海外で広く観られていたのは主にハリウッドの大作で、日本のアニメやマンガは少し遅れて届くものでした。それが、配信でアニメが当たり前に観られるようになり、日米で同じ作品が同時に盛り上がるようになりました。今やコスプレや音楽、グッズなどのIPの周辺コンテンツですら、現地の若い世代が日本とほとんど変わらない速さで楽しんでいます。
─ 昨年の代表的な仕事のひとつが、北米最大級のアニメコンベンション・ANIME EXPO 2025でKODANSHAブースのディレクション・プロデュースを担当したことです。どのようなお仕事だったのか教えてください。
メンバー 私は講談社さんのもとで複数のIPのブースを、プロデュースから制作まで担当しました。デザイン設計、現場での施工、ノベルティ、スタッフ手配まで一通りです。心がけているのは、空間づくりを外注先に任せきりにせず、「こういう考えで、こういう空間にしたい」を一度maxillaのメンバーと組み上げてから動くこと。チームとクライアントと合意の取れたものを海外で形にできるので、お互いに安心して進められます。
─ 海外での施工やノベルティなど制作は、どのように進めているのでしょうか。
メンバー 基本的には、海外の企業と直接組んでいます。アメリカはエンタメの本場で、制作会社の選択肢が格段に多い。それなのに日本の代理店や制作会社を経由すると、結局「日本語が通じるか」で候補がかなり絞られがちです。数多くの選択肢が言語で狭まってしまうのは惜しい。もちろん、英語でやりとりすることが前提にはなりますが、自分たちで直接組んだほうが、選べる相手の幅はずっと広がります。
─ 同じくANIME EXPOの2026年度は、田中さんが新作TVアニメ『攻殻機動隊 THE GHOST IN THE SHELL』のプロモーションを担当されたと伺いました。
田中 攻殻機動隊は、いまや日本を代表するグローバルコンテンツで、宣伝も日本だけに向けるものではありません。今回も日米双方に届けることを前提にした依頼で、ソーシャルメディアの運営から各種施策の管理、海外向けのプレスリリースまで、宣伝業務全般を担いました。作品パネルは、登壇者が新情報を解禁する場でもあり、その進行も任せていただいて。自分にとっては初挑戦のことが多くかなり刺激を受けました。

─ 海外で評価されているのは、どんなところだと感じていますか。
田中 maxillaのアウトプットが海外で伝わりやすいのは、ひとつあると感じています。社内のつくり手はもともと海外のクリエイティブが好きで、言葉ではなく作品で伝える──特に英語圏に届くものをつくるのが得意だと思います。出版社やアニメ業界に「海外へ売っていきたい」という需要があるなかで、「maxillaのクリエイティブなら任せられそうだ」と思ってもらえているのかもしれません。『攻殻機動隊 THE GHOST IN THE SHELL』の宣伝でも、国内外で通用するクリエイティブを基準に置いています。
志村 その外側でいえば、英語が話せて、日本側のものづくりの事情まで理解したうえで、別のマーケットに届けられる事業者は、そう多くありません。日本で長年かけて培ってきたものを、形として認めてもらえているのだと思います。
メンバー プロモーション企画提案を含む海外制作を対応できる会社が少ないことに加えて、maxillaのクリエイティブクオリティの面も見てもらえているという、その掛け算なのだと思います。最近は海外のイベントの相談も、「いつもと同じではつまらないから考えてほしい」という入り方が増えました。現地を理解していることや、その先のプロモーションまで提案できるかもしれない、という期待をいただいているのだと思います。
海外のチームと、ひとつの作品を作る
─ 一方で、海外のプロジェクトを日本で形にした仕事もありますね。VALORANTの大会に向けて、ロサンゼルスのスタジオ・Massive Assemblyと組んでつくったこのアニメトレーラーは、どんな経緯で始まったのでしょうか。
志村 Massive Assembly(以降、マッシヴ)は、Riot Games(以降、ライアット)と長く組んでいるLAのスタジオです。あるきっかけで彼らと知り合い、いつか一緒にやれたらと話していました。私たち自身も、コロナ禍からゲーム領域に取り組むなかで、本国のメイントレーラーを手がけたい、マッシヴと組みたいと考え続けていて。そんなときに、VALORANTの女性大会『VALORANT Game Changers』が韓国で開催されることになります。マッシヴから声がかかりました。お互いに前から組みたいと願っていたのが、ここで噛み合ったかたちです。
─ 実際の制作では、どんな難しさがありましたか。
志村 私ともう1人、日本側の進行を担うメンバーとの2人で、4か月にわたって毎週の定例を重ね、英語でのやりとりを続けました。ライアットはブランドとIPの管理が非常に厳格で、VALORANTはマーケットやファンコミュニティへの意識が強い。「この演出は表現として正しいか」「このキャラがこのマップでこう動くのは設定上ありえるのか」といった確認を英語でこなしながら、日本側の事情も先方に翻訳していく。気を配る範囲が広く、それが言語の壁でさらにハードになったという印象です。
─ 制作を通して、いちばんの発見は何でしたか。
志村 アニメのつくり方が、欧米と日本でまったく違うこと。これがいちばん大きな発見でした。欧米はプレビズで先にラフにでも形にして進めるので、合意形成が早い。日本は分業で、しかも段階的につくるため、絵に色がつき、動きが見えてくるのは制作の終盤になってからです。先方からすれば、最終形がなかなか見えず、もどかしさもあったはずです。手描きの2D作画ゆえで、3Dならプレビズで早く見せられても、日本のアニメはそうせざるを得ない工程になっている。このものづくりの在り方とニーズ差に関しては、マッシヴと話しながら気づかされました。ここを彼らがくみ取ってくれたのはありがたかったです。
Helixesが国境を超えて目指す姿
─ こうした実績を重ねてきた今のHelixesだからできること、目指す方向はどこにあると考えていますか。
志村 日本側のお客様が、業界としても各社としても実現したい、けれど実現が難しいこと。そこへの理解があるのが、Helixesの独自性だし、今の立ち位置だと思います。だから大きな旗を掲げるというより、それぞれのためになることを一つずつ、地道に形にしていく。結局はそれに尽きる気がしています。
メンバー 北米だけではなく、香港、中国、タイ、フランスへなど、パートナーは少しずつ広がっています。先日は香港のイベントも手がけ、6月後半には、田中さんと志村さんがフランスのアヌシー国際アニメーション映画祭に向かいました。地域を限らず、さまざまな場所で仕事をつくっていけたらと思っています。
─ ではこれから海外での仕事を広げていくうえで、どんな人とともに挑んでいきたいですか。
メンバー 「やってみたい」で止まらず、立ち上がったものを自分の手元へ手繰り寄せられる人だと思います。いまはまだ開拓中で、コネクションが少ない前提で動きますから。実際、社内には海外案件の経験がないのに、それを自分の仕事として捉え、私の指示を待たずに自分から海外のスタッフと連絡を取り、進めてくれるメンバーがいて、私自身とても助けられました。現場での言語の壁はあっても、事前の準備はAIなどのツールを使って十分にできる。実際には社内のバイリンガル・トリリンガルメンバーに支えていただくことも多いですが、語学そのものより、いただいた案件をいかに自分ごととして前に進められるかどうかかなと思います。為替も契約も、リスクは日本より高いなかで、実現可能性を見極めてやり切れるか。そういう仲間が増えてくれたら、と思っています。
田中 僕自身にあるとは言い切れないのですが(笑)、行動力のある人でしょうか。未知の場所だからこそ、怖がらずに前へ進める人。日本のコンテンツが強いいまも、そこに寄りかからず、世界中の作品に触れて取り込んでいける。そんな視野の広さを持った人だと思います。
志村 スキルや経験は、あるに越したことはありません。でもそれ以上に大事なのは、根っこに「日本と海外の架け橋になりたい」という思いがあって、人生の時間をそこに使ってみたいと思えること。そういう人と、一緒に挑んでいきたいですね。
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Speaker
Ryunosuke Shimura
Daichi Tanaka
Helixes Member -
Text
Kentaro Okumura
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Edit
Yamato Soma
Aiko Hinokuma
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