maxillaサウンドプロデューサーによる、日常を彩る刺激的な曲 5選
2021.06.28
Helixes Inc.のメンバーやそのマインドについて発信していく「Helixes.log」。
今回はHelixesの音楽ディレクター/プロデューサー・鈴木聖也による、音楽レビューをお届けします。
はじめに
仕事柄、日常的にいろんな音楽を聴くんですが、
今まで知らなかった素敵な音楽に出会った時に感じる感覚というのは、兄のCDやMDを勝手に聴き漁って知った曲や、ジャケ買いしてたまたま出会った曲を初めて聴いたときのあの痺れるような感覚として、今も変わらず僕の日常のスパイスになっています。
Lifetime Soundtrackというのはよく言ったもので、僕は死ぬ直前に再生される“人生を彩った曲たち“を日々少しずつ集めているのだな、とこの文章を書きながら気づきました。
以下では、僕がこれまで出会った素敵な曲の中からいくつかをご紹介します。
本当に思ったまま、感じたままを書き殴ったのでとても稚拙な文章ですが、誰かの日常のスパイス或いはLifetime Soundtrackの1曲に選ばれたら、そんな嬉しいことはないなと思います。
Joe Layne / Forget It All !!!
何を隠そう、韓国インディーにハマるきっかけになったアーティスト。
2019年の冬に来日した際に撮影した韓国のバンド SURL のメンバーがインスタのストーリーにあげていて、それをDig兄こと「mights」の酒井さんもシェアしてたので、「Dig兄のオススメはとりあえず聴く」という脊髄反射から聴いてみたところ、これがまぁブッ刺さった。
韓流とは無縁だった自分ですら韓国の音楽をK-POPという単純化された一括りにするのはあまりにも無粋、と思うほどHipHopやR&Bなど様々なジャンルの才能を目にし耳にする中で、オルタナ・インディーロックまでもがこのレベル…?本当に高い次元でいろんな音楽をつくる国やなぁと感動しました。
Joe Layneに関しては韓国でもまだ見つかってないのか…?と思うような再生回数(1000って、半分ぐらい回してるんオレか?と思うほどの数字)が不思議で仕方ないのですが、どうやら個人名義での活動は2019年あたりからで、それまではRecording Artist/Producerなどいわば裏方として活動していたみたい。
日本のRecording ArtistやProducerにも言えることですが、彼のようなこれまで裏方と呼ばれていたアーティストにもっとスポットライトがあたり、良質な音楽がたくさん生み出され、それらに日常的に出会えるような世の中になると良いなぁと切に願う。
yayou hoi / sogumm, OHHYUK
こちらも韓国のアーティスト、だけどこっちは知ってる人も多いと思う。
AMOG所属、Balming Tigerのクルーとしても活動するsogummと、昨今の韓国音楽シーンきってのヒーローバンドHYUKOHのフロントマンOHHYUKのコラボ楽曲。
「ピクニック」的な意味があるらしい”yayou hoi”という曲は、途中なにが起こった?ってぐらい展開がハンパないし、これが本当に素晴らしい。
ファンキーなギターのバッキングから始まりラテン調で幕をあける楽曲は、sogummの歌声も相まって一聴してクールで堂々と展開していくが、それも束の間に最初のサプライズ。
Bメロで突如リズムが3連になり没入感のあるサウンドに一変、ピクニック中にやばいキノコでもつまみ食っちゃったかな?と思うほどトリッピーな世界観に。遊びが利きすぎで最初聴いた時は途中で別の曲に変えちゃったと思ったほど。
しっかりとフォルマウントさせたコーラスを機械的にいじり倒しているところも気が利いててイカしてる。
と思ってたらまたAメロに戻る。え?ということは今のサビ?構成おしゃれすぎない?と軽くパニックになる。そんなことはお構いなしにまたAメロのギターバッキングで軽快にピクニックに戻るけど、おしゃれ構成なのですぐサビがきます。
しかもまたリズムの取り方が変わって、次は2-4アクセントで自然とカラダが揺れちゃいます。
そのあとはお待ちかねOHHYUKの甘いボーカルにバトンタッチ。この声がきっかけでHYUKOHが結成されたというのも納得の美声に聴き惚れているのも束の間、またリズムとサウンドが…という具合に最後まで飽きさせない展開は本当にお見事。(トラック誰が作ってるんやろ…知ってる人いたらメールください。)
ところで、歌詞の内容を少し調べてみたところピクニックは全く関係なく、男女の関係を歌っているらしい。ピクニックどこ行った、と思うけど関係性の変化を曲展開で表現しているとすると本当に頭が下がります…。
通り過ぎて全部 / かさねぎリストバンド
作曲家・サウンドデザイナーとして活動する主宰・増田義基を中心とする、大所帯バンド。
音楽以外にもさまざまな領域で活動するミュージシャン、パフォーマー、アクターが集まり、演奏ごとに編成や担当楽器を変えるスタイルをとっているようで、定型的ではないアンサンブルの油断できない感じというか、全て計算された上で絶妙なバランスで成り立っているのがとても魅力的。
歌詞の構成も素晴らしく、広く共感できる、どこか懐かしさを帯びたような情景的な表現をベースにしているのに、突然「サランラップ取って くるまった」「ご飯はあたためておいて」などの“日常あるある”がブチ込まれて、聴いてる方も???となる、良い意味でのサプライズがあり聴いてて飽きがない。
知的で音楽IQの高い人たちで作られていると思うが、ポリリズムにスポークンワード、エンディングの広がりなど、キャッチーな要素はしっかり抑えていて本人たち含め楽しむことをちゃんとしてるところが最高。あとボーカルめちゃくちゃ良いよね。デカいフェスの森のステージとかでお目にかかる日が楽しみ。
Giuseppe Gilardi / expired milk
どこからともなくSNSに定期的に出てくる馬鹿テクギター野郎たちですが、この人は一味違います。
馬鹿テクギター野郎らしからぬシンプル(でもムズい)リフを弾き倒し、まるでシーケンスのようにサウンドを盛り込んだ激シブなトラックをつくる、どちらかというとプロデューサー的なイタリアはナポリ出身のギターリスト兼、先生。
ギター以外のサウンドも非常に洗練されていて、ビートミュージックとして楽しめる曲を多数プロデュースしている。
インスト・メタルバンドのAnimals As LeadersのToshin AbasiのギターブランドAbashi Conceptがエンドーズするなど、馬鹿テクギター野郎協会からも一目おかれる存在。
まだ今年自身のインストアルバムをリリースしたばかりですが、ボーカルとの相性も良さそうなので今後はそういったプロデュースワークにも発展することを楽しみにしています。
Alfredo Rodriguez / Elguije
書くの慣れてなくてちょっともう疲れてきました。この人は楽しい感じのキューバの人。たぶんピアノが人よりも得意。
Alfredoさんも素晴らしい音楽家なのですが、この曲で良いなぁと思ったのは女性のスキャット。
フルートやピアノのメインメロディとユニゾン(同音、同度:複数の音が全く同じ高さ(ピッチ)であること。)する軽やかな歌い方もすれば、途中からはベースラインとユニゾン。最後は自由に羽ばたく鳥のようなコーラスに変化していきます。
めちゃくちゃテクニカルなことをやっているのに、音楽って自由で気持ち良いなぁと、音楽の楽しさに立ち戻らせてくれる個人的にとても大事な曲です。
おまけ
なんだかんだコレが一番好き。
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Text
Seiya Suzuki
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Edit
Mami Sonokawa
Kohei Yagi
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