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Culture of Helixes「わたしたちの偏愛 – Anime -」

2024.08.23

Helixes Inc.のメンバーやそのマインドについて発信していく「Helixes.log」。

今回は「わたしたちの偏愛」。毎回さまざまなタイプの偏愛を持つ方たちが集まり、その熱をお届けします。
第2回目は「アニメ」ということで、アニメを愛すると自負する3名が、自身の推しアニメを2本ずつ語らいます。

▼Akira Gunji(Designer

『トップをねらえ2!』

作品概要:

TVアニメ『新世紀エヴァンゲリオン』などを制作したことで知られるアニメスタジオ、ガイナックスが制作したOVA『トップをねらえ!』の続編にあたる作品です。『トップをねらえ!』では庵野秀明さんが監督でしたが『トップをねらえ2!』では庵野さんの後輩である、鶴巻和哉さんが監督を務められています。メカのリアルな整合性よりも登場人物のハートが1番大事という、いわゆるスーパーロボットアニメですね。

作品との出会い:

高校生の時、バイト終わりに近所のTSUTAYAでアニメDVDを適当に借りて帰る習慣があって、その時に無作為に借りたDVDの中の一本でした。当時のガイナックスは『パンティ&ストッキングwithガーターベルト』や『天元突破グレンラガン』といった作品を手掛けていて、名前は知っていたのですが『トップをねらえ2!』は知らず……。まさに偶然の出会いでした。

僕にとっては、モノ作り目線に興味を持ったきっかけの作品でもあります。『トップをねらえ!』から『トップをねらえ2!』では監督が世代交代するわけですが、アニメの内容自体も世代交代の話で、劇中主人公や制作者間でのリスペクトがすごく感じられたんです。

作品の魅力:

20代後半の僕の世代だと、当時はゲーム「アーマード・コア」シリーズのようにリアルなロボット描写が流行っていました。なので、道理は熱意で覆す!みたいな昔の熱血ロボットアニメみたいなのが当時の自分としてはすごく新鮮でしたね。

また、今石洋之さんなど、伝説的アニメーター・金田伊功さんや板野一郎さんをリスペクトするアニメーターさんが多く参加しているので、現実味を無視しても迫力のある作画や絵の動きがすごく好きでした。次世代のアニメーターや監督といったスタッフ同士の関係性であったり、絵や話が衝撃的に好きだったんです。「エキゾチックマニューバ!」って、叫ぶだけで熱くなれます(笑)。


『プリパラ』

作品概要:

タカラトミーアーツとシンソフィアが共同開発したトレーディングカードアーケードゲームが原作で、日曜朝に放送されている、いわゆるニチアサアニメです。主人公たちが仮想空間に行くことで理想の姿になってアイドル活動をする、といった内容です。

作品との出会い:

Helixesへの転職前、帰ってからアニメをひたすら見まくる時期がありました。その時に、これまで自分が絶対に見てこなかったアニメを見ようと思って、ニチアサ系アニメを視聴したんです。『プリパラ』は150話くらいあるんですけど、ずっと見まくるほどハマりましたね。

それまでは少女向けアニメをなんとなくチープなものと思い込んでました。でも、『プリパラ』は深夜アニメを超えるレベルのCGがボンボン出てきたり、子どもを喜ばせるためにシンプルで可愛くわかりやすい演出を重視するなど、少女向けアニメに対して持っていたイメージを完全に壊してくれたんです。

作品の魅力:

「子供向けでわかりやすい」のであれば単調に……とかってなりがちだと思います。今の仕事でも、わかりやすさとクオリティ・作り込みの両立という問題によく直面しますが、『プリパラ』はそれを両立させているんですよ。クオリティを保ちつつ、ときには大人目線で見たら笑えるようなギャグとかもあって、そういった外連味を含めて、大人の目線で見ても面白いアニメでした。

また、毎週放送される変身シークエンスやライブシーンを見ると、一つひとつのカメラワークや表情、フリなど、すべてのカットに必然性があってつながっているのがわかるんです。そのシーンを見ただけでも、すごい人が作っているというのが伝わってくる。どんなジャンルの作品でもちゃんと自分で見てみないとダメだ、と思わされた作品です。

▼Kazuya Futagoishi(Director)

「ラブライブ!」シリーズ

作品概要:

数あるアイドルアニメの中でも、「ラブライブ!」シリーズは、「スクールアイドル」という部活が一般的に存在している世界観です。部活ということで、3年間をアイドルとして過ごしてアイドル部としてのインターハイ(全国大会)に挑む、というのが基本ストーリー。大体9人グループのアイドルで、卒業する3年生メンバーもいたりして、アイドルやグループとしての葛藤なども描かれる作品になっています。

作品との出会い:

高校生時代には自分で映像を作ってたりもしたんですが、受験のタイミングで趣味も含めて全部一回止めて、勉強に集中しなければならなくなっていました。そんな時期に、スカイプ通話をしていた友達が『ラブライブ!』の「Snow halation」という曲を流していて、気に入って音楽として聞くようになりました。

そのタイミングで、TVアニメ『ラブライブ!』2期(2014年)最終話目前を友だちと一緒に見ることになって、僕はキャラの名前くらいしかわからない状態で参加したら、本編では「グループを終わらせる」みたいな話をしてて、ヤバ! って。視聴後に友達の顔を見ると、みんな「俺の生きがいが……」と完全にお葬式モード(笑)。こんなに本気でみんなを夢中にさせられる話ってどんなのだろう? と見てみたら、僕もハマっちゃいましたね。

作品の魅力:

ハマったきっかけが楽曲だったこともあって、曲は全部素敵です。特に、アニメだとキャラソン文化があって、中にはキャラクターというよりも声優さんが歌っているように聞こえるものも多くあります。でも、「ラブライブ!」シリーズのキャラソンは、ちゃんとキャラクターが歌っている楽曲だな、と感じられるんです。「ラブライブ!」はアニメだけじゃなく、雑誌や声優さんのYouTube配信、ライブといったメディアミックスが展開されていますが、どこを見てもキャラクターを感じられるのは大きかったです。

また、「スクールアイドル」という設定から、3年間という短い期間に全力を出し切る部活感や青春感が表に出ている作品でもあります。ちょうど自分が受験期に見ていたこともあって、自分も頑張らなきゃと後押しをしてくれる作品です。今でもメンタルを回復させたい時とか純粋な気持ちを思い出したい時には、「ラブライブ!」シリーズを見返しますね。


『C』

作品概要:

2011年にフジテレビの放送枠「ノイタミナ」で放送された深夜アニメです。同時期のノイタミナ作品だと『PSYCHO-PASS サイコパス』などが有名で、『C』は意外と知らない人が多いのかな、と。お金をモチーフにした世界観のアニメで、現実世界とは別に「金融街」という限られた人だけが出入りできる世界があって、そこで繰り広げられるバトルモノです。

金融街でのバトルは、自分の未来を担保にしてお金を借りていて、負けて残高がなくなると破産して、現実世界の自分にとっての幸せな未来が奪われてしまう。人によっては、いたはずの子どもがいなくなってるみたいな現実改変が起こったりもします。

作品との出会い:

中学生の頃からとりあえずTVで放送してるアニメは見るって感じでした。当時、美少女アニメがはやっている中で、明らかにほかの作品と比べると異質で独特な雰囲気がするアニメとして『C』が自分の中で引っかかったんです。話は1クールでギュッと凝縮されているけど難しくて、正直最初は理解できないまま終わりました。それでも世界観やビジュアルにめちゃくちゃ惹かれていたので、高校生でもう一度見直すと、壮大で重い設定やテーマも前より理解できて、見れば見るほど魅力に気づけるような面白い作品でした。

作品の魅力:

僕はアニメのオープニングが好きなんですが、『C』は今まで見たアニメ・オープニングの中でも5本の指に入るくらい好きです。オープニングアニメは登場キャラクターやストーリーを予感するシーンを表現するのが勝負だと思うんですが、『C』はほとんどキャラが出ずに作品の世界観を表現することに全振りしている。

作品が金融やお金をテーマにしているので、AメロやBメロで紙幣や硬貨といったグラフィックを使ったり、サビになると紙幣のグラフィックをダークな雰囲気で展開しているのも、シンプルに格好良い。

当時の僕は絵を描くのも好きでマンガも描いていたけど、上手くなる未来が見えなくて挫折してました。でも、『C』を見て、アニメーターではない形、演出としてアニメに関わる、という可能性も感じさせてくれたオープニングだったんです。モーショングラフィックス的な要素が数多くあって、今見ても「どうやって作ったんだ?」と思うほど凝っている作品。どの年代にもオススメです。

▼Jin(Account Planner)

「攻殻機動隊」シリーズ

作品概要:

『攻殻機動隊』は、1989年の士郎正宗先生のマンガから始まって、1995年に押井守監督によって『GHOST IN THE SHELL / 攻殻機動隊』として劇場アニメ化。00年代には神山健治監督によるTVアニメ「攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX(S.A.C.)」シリーズ、10年代中盤には中編「攻殻機動隊 ARISE」シリーズ、20年には配信ベースでの「攻殻機動隊 SAC_2045」、2026年にサイエンスSARUが手がける新作TVアニメシリーズも予定されています。

SFのサイバーパンクと呼ばれるジャンルですが、ブレードランナーという映画が雰囲気をビジュアライズし、「攻殻機動隊」はサイバーパンクの設定をビジュアライズした作品として衝撃的な作品だったと思います。

作品との出会い:

僕は両親が元々TVアニメ・劇場アニメ・OVA(オリジナル・ビデオ・アニメーション)を好きだったので、OVAシリーズの『機動警察パトレイバー』や劇場映画『うる星やつら2 ビューティフル・ドリーマー』などを見て、押井守監督の作品を知っていました。『GHOST IN THE SHELL / 攻殻機動隊』を見たのも10歳くらい。そこから原作マンガを読んでさらにハマって、同時代の大友克洋さんの『AKIRA』や映画『MEMORIES』とかにもハマって、みたいな感じですね。

作品の魅力:

00年代初期の「攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX(S.A.C.)」シリーズをリアルタイムで見ていて、当時はTVアニメブームを経て大人向けの深夜アニメを作っていこうという流れがありました。同時期に放送されていた作品だと、『お願いティーチャー』とか『灰羽連盟』とか。

そもそも『GHOST IN THE SHELL / 攻殻機動隊』は95年というOVAブーム全盛期に製作されていて、S.A.C.をへて、10年代のARISEシリーズはネット系アニメーターの起用も含めて、インターネットを軸としたアニメ展開の時代です。当時は中編アニメを劇場でかけてその場でパッケージ販売するビジネスモデルが登場して、ARISEも採用していました。その後、映像のサブスクリプションサービスが人気になってきたら、Netflixで「攻殻機動隊 SAC_2045」が展開されています。アニメーションのカルチャー、特にアニメ製作の時代の節目に必ず「攻殻機動隊」が登場してくる。その流れ自体がすごく面白いんです。


OVA文化

作品概要:

1980〜90年代に隆盛したオリジナルのビデオ・アニメーション群のことです。それまでのアニメは主に玩具の販促目的で作られていましたが、劇場アニメ映画のヒットやレンタルビデオ店の普及もあって、大々的な宣伝をせずともビデオパッケージの実売だけを確保すれば良いというOVAが数多く作られることに。その結果、作家性が強かったりアイディアの塊のようなアニメが多く出てきました。

『ダロス』にはじまって、『ロードス島戦記』や『マクロスプラス』、『らんま1/2』や『機動戦士ガンダム0080 ポケットの中の戦争』(以下、ポケ戦)だったり……。結果的にセル画最後の世代でもあり、いまだに見続けていますね。

作品との出会い:

もともとアニメが好きで、『バトルアスリーテス大運動会』がすごく好きでした。家にOVAやLDが当たり前にある家庭だったので、親に「OVA『天地無用!』が見たい」と言ったら普通に出てきたのが最初の思い出です(笑)。自分で初めて買ったビデオは『戦闘妖精・雪風』だったと思います。その後は、『ポケ戦』や『マクロスプラス』などに順調に影響を受けました。その影響もあり、僕オタク歴の始まりもすごく早いんです(笑)。小学校5年生にはコミケに出展してました…。

作品の魅力:

1995年の『新世紀エヴァンゲリオン』をきっかけに製作委員会方式が主流となった結果、今のアニメというのは、玩具やマンガも関連商品全部が売れないといけないので、キャラクターがいっぱい出てそのすべてが可愛くて設定も掘り下げられているような、すごい作品がたくさんあります。

一方で、OVAは映像ビデオだけが売れればいいから、宣伝しにくいようなストーリーに大きな展開のないコンパクトな話だったり、今の時代から見るとパッと見面白くなさそうなキャラ設定であったりと、そういう言葉足らず舌足らずな作品が多くありました。だけど、映像的な表現でなにか納得させられてしまったりするんですよね。

作品が売れないと次も作れないので、「お前ら、これが好きなんだろ!?」という趣味が全開だったり熱さが詰まっていたり、作家性や大人っぽい作風が目立つなど、今の時代だと製作が難しいだろうアニメ作品がOVAにはたくさんありました。

最近だと、実写映画『るろうに剣心 最終章 The Beginning』がOVA「追憶編」をベースにして逆輸入的に作られていたりするので、再評価されていたりもします。

そんな時代の、アニメが大好きでした。

  • Speaker

    Akira Gunji
    Kazuya Futagoishi
    Jin

  • Interview & Text

    Michi Sugawara
    Kentaro Okumura

  • Edit

    Kohei Yagi
    Kanako Himeno

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