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Helixesとクリエイター #1 音楽編|同世代で物を作り続ける稀有な仲間──創業期から作品を支える3人の作曲家、10年間を辿る

2024.02.13

Helixes Inc.のメンバーやそのマインドについて発信していく「Helixes.log」。

創業期から楽曲提供などを通じて多くの作品をともに作ってきた作曲家・トラックメーカーの長尾洋輔さん、近谷直之さん、ESME MORIさん。
約10年前にmaxillaのメンバーを中心に知り合った3人は、キャリアを重ねるうち、アーティストのプロデュース、CM、劇伴など、それぞれの道を進んでいきました。今回は3人とも深い関わりのあるmaxillaの鈴木を交え、これまでの歩みや現在のモチベーション、そして彼らから見たHelixesの姿などを語ってもらいます。

この10年でそれぞれの独自性が生まれ、コラボしやすくなった

まずはそれぞれの経歴や最近のお仕事を含めて自己紹介をお願いします。

長尾 20代のときはアーティストのプロデュースを頼まれて楽曲を提供したり、バンドのサウンドプロデュースやアレンジもしていましたが、近年はCMや映画、インスタレーションなど何らかの映像・コンテンツに対して音楽を作る、というのがメインになっています。最近では箱根駅伝で放映されたPUMAのイメージCMが大きな仕事でした。

近谷 僕はもともと鈴木さんもいたCM音楽に強いプロダクションに所属していました。当時は予算や締切が厳しい案件でも、武者修行的になんでもやるって感じでしたね。最後のほうは年間250本ぐらいのCM音楽を作っていて、毎日朝から晩まで鈴木さんといた気がします。

独立してからは幅が広がりましたが、今増えてきているのはテレビドラマや映画の劇伴の仕事。あと、鋭児というバンドを共同でマネジメントしていて、その二軸ですね。マネジメントと言っても、車を運転したり買い出しもしますし、一緒にレコーディングしたり、サウンドプロデュースもしたりと、まぁなんでもやります(笑)。

ESME MORI 僕はアーティストのプロデュースをメインとしつつ、たまに自分の楽曲をリリースしたり、ライブをしたりといった形で活動しています。最近の一番大きな仕事でいうと、プロデュースしたimaseの「NIGHT DANCER」という曲が日本レコード大賞の優秀賞を受賞したことです。ヒットが広がっていくさまをこの目で見ることができたのは、結構大きな出来事でした。また、海外の作曲家とco-writeと言って、一緒に曲を作ることもあります。

鈴木 こう改めて聞くと、最初はみんな近い界隈からキャリアが始まったけど、それぞれが自分たちの道に進んでいってるのが実感できるな。

ESME 会ったのは10年ぐらい前だったと思うけど、あれからだいぶ3人の方向性が変わったのかも。確か最初はmaxillaの花見で出会ったんだよね。僕はもともと代表の志村君と同じ高校で、たまに会って音楽を一緒にやってたりして。それがきっかけで花見に誘われて、2人(近谷・長尾)と知り合ったのを覚えてます。

長尾 僕は関西の大学の出身でライブをしたりしてたんですが、その頃からmaxillaのメンバーが知ってくれてたんですよね。

鈴木 僕も含めて、maxillaのメンバーは関西の大学出身が多くて。長尾くんは残響レコードっていう名のあるインディーズレーベルでバンド活動していて、界隈では有名だったんですよ。

長尾 それで大学を卒業して、東京に出てきたときに鈴木さんと出会って、音楽の仕事があるけどどう?  と声をかけてもらったのが最初。2012年か13年ごろだと思います。

鈴木 ESMEくんがやってるco-writeって、なにかきっかけがあったの?

ESME 韓国のBXNというプロデューサーチームと「STAYC」というK-POPアイドルの曲に携わったことがきっかけで、これも昨年の自分の中で大きな仕事ですね。昨年は韓国に2回行って、その前はアメリカでセッションしました。

─海外でも活動しているんですね。

ESME そうですね。最近は5〜6人でわいわい集まって、半日ぐらいで1つの楽曲に仕上げていくのが僕の新しい選択肢になっていて、積極的に参加しています。

長尾 そういうのって、世界中からいろんな国の人が集まってくる?

ESME その時々によるんだけど、韓国では韓国のパブリッシングに所属する作家とやったり、いろんな国の人がいる場合もあって。僕が作家として所属しているソニー・ミュージックパブリッシングが年に一度開催してる北欧でのセッションがあって、その時は北欧系の作家が来日して一緒に作る、という形だった。自分と相手の良さを融合しながら、オープンに曲を作る体験を数多くふめたことは自分のためになってると思う。

長尾 自分ひとりで突き詰める作業って際限がないけど、人が多いと早く作れそうっすよね。実際どんな感じで作るか気になる。

ESME 実際、めちゃくちゃ早いよ。作り方は、たとえばメインスピーカーに座って音出しする人、後ろでMacBookで作業する人と分かれて、誰かから良いアイデアが出たらメインの人へエアドロップする、みたいな。このやり方だったら、何人でもできるじゃんって気づけた。自分がメインに座ることもあるし、後ろでコード進行を考えたり、サンプルを探してみたり、っていうのもあったり。

鈴木 勉強になりそうやなぁ。

ESME みんなの手癖や曲の組み立て方、ソフトの触り方までわかるし、毎回勉強できるんだよね。逆にその場で意見やアイデアを言えないと貢献度が下がるから、バンバン言っていこうって意識してる。ダメかもしれなくても、とにかく言う。みんなとも、一回どこかでやりたいね。

─近谷さんの最近の仕事は?

近谷 maxillaとの案件だと、保険会社のチューリッヒがYouTube上で始動した「Green Music produced by Zurich」の仕事が大きいですね。いわゆるCM音楽では与件に応じた方向性を左脳的に考えて、右脳的にアウトプットすることが多かったのですが、この案件では、お題はありつつも自分のオリジナルな部分を強く出すことができました。

また、ドラマ『パリピ孔明』の劇伴を手がけられたのもよかったですね。シンガーソングライターが主人公で、劇伴以外にも劇中歌で20曲ぐらい歌物の曲が必要でした。数が多い分、誰にどう頼むかを1年前から考えて動いていたのですが、実はESME君にも2曲お願いして作ってもらってるんだよね。

ESME そう。近谷くんからお願いされるのは初めてじゃなかったかな。まだリリース前だけど、僕から近谷君にも初めてお願いした仕事があって。すぐに意図を汲んでくれて、もう何年も一緒にやっているような安心感がありました。もっと早くお願いすればよかったなって思う一方で、10年という長い付き合いの中でお互いの得意分野が分かってきたからこそ、一緒に仕事ができそうと思えるようになってきたのかも。

近谷 人に頼むのが恥ずかしくなくなったっていうのもあるんじゃない? 前は、自分でできないと、やらないとみたいなのがあったから。

ESME それはそう。自分だけでやり切る意地みたいなのもあったかもしれないね、もしかしたら。でも今はお互い領域が違うから、逆にコラボしやすいのかもしれない。

戦友でありライバル

─3人は、Helixesに対してどういう印象を持っていますか?

ESME 近年はそれほどですが、10年くらい前はかなり密に仕事をしていました。同世代と一緒に物作りしているという感覚になれる、貴重なチームだと思ってます。特に創業のメンバーに対してはハードな仕事も一緒に乗り越えてきた思い出もあるので、ありきたりだけど戦友というか。尖っていながら、ちゃんと世の中にフィットする物を作り続けてる人たち。自分にとっても刺激になるし、負けないような物を作ろうとも思います。

長尾 最近入ったメンバーは知らない人も多いんですけど、とにかく濃いというか、マジで音楽とか映像といったカルチャーが好きな人しかいないという印象です。そういう人が集まる人が作り上げるワークスがあって、またそれを見て惹かれた人が集まってくる、良い循環があるのかなって。

それに、あれだけ感度が高い人たちが集まって、社内でコミュニケーションを取っているというのもすごい武器だろうなとも思います。最新の情報が、感度の高い人から入ってくるわけじゃないですか。ひとりだと自分のアンテナの範囲でしか情報を得られないので、その点はすごく羨ましいですね。

近谷 完全に2人に同感で、最先端にいる人たちっていうイメージ。手がけているCMやイベントの仕事も、今この瞬間への感度が常に高いなって。あと作曲家目線で言うと、映像もできて、音楽もできる会社ってあまりないと思うんですよね。

長尾 確かに。映像がメインの会社で、音楽プロデューサーもいるっていうのはかなり珍しいですよね。だからか、僕が関わってきたmaxillaの案件は途中でブレることが一切ないし、やっぱり作品の純度が高い。「VERSEⁿ」という事業も、単純な映像制作会社ではなくて、鈴木さんなり、音楽のプロがいるからこそできる事業だと思います。その点は組織として強いですよね。

─最後に、これからの目指す姿をお聞かせください。

長尾 ESMEくんがやってたco-writeをしてみたいし、最近はAIもめっちゃ気になってて、勉強したいなと。もともと、自分一人の想像力って大したことないって思っていて、シンセサイザーでランダマイズされたものとかを音作りで使うことも多いんです。そういう延長で、自分の想像してなかった音が作れるようになるかな、とか。

ESME それこそ、Helixesのお仕事でソニーの「Flow Machines」を使ったことがあるよ。

長尾 それ、今度ぜひ話聞かせてもらいたい。自分的にはかなりターニングポイントになりそうな予感がしてる。

ESME ぜひぜひ。僕は、去年レコ大という大きなチャンスが巡ってきたので、次はco-writeで海外にも出ていきたいと思っています。去年から蒔いている種が形になるといいなと。 

というのも、co-writeを通じてようやく自分の「武器」を見つけられそうなんです。K-POPにもトライしましたが、やっぱりK-POPはK-POPが得意な人たちが作っているんだなという感覚もあって……土壌が違うというか。では自分にしかない武器ってなんだろうって自問し続けて、答えのようなものがだんだん見えてきた。ここからいろんな人とコラボして武器を出していきたいなと思います。

近谷 僕は改めて自分のサウンドを高めて行きたいと思っています。この仕事はもう12年ぐらいやってきたのかな。だからか、手慣れてる感覚というか、自分の中の「正解」をすぐに作れてしまう部分もある。それはそれでいいんだけど、何かもうちょっと違うものを生み出せないかなって。

具体的に言うと、年末に買った新しいシンセサイザーをいじってみたり、カセットデッキを使って楽曲をテープに落とし込んでからデータに戻したりと、色々実験しています。今年もいくつかの劇伴を手がけることが決まっているので、普通のサウンドじゃない、何かちょっと面白いことをどうにか残したいです。

─それぞれがこれまでの経験をもとに、次のステージに進もうとしているんですね。

鈴木 やっぱり改めて、この3人はmaxillaの盟友だと思いました。僕らが広告制作に関わり始めた頃から、彼らのような周りのクリエーターに支えられてここまできてるんだなと実感しましたね。

ESME 同世代で、こんなに長く物作りを続けてる人はいないしね。たまにこうやって会うと、近況報告も膨大な量になる(笑)。お互いやってることが違うからこそ。

鈴木 たしかに、話したいことがいっぱいあるから時間が足りない。今度は誰かの家に集まって話したいなぁ、飲みながら。

  • Speaker

    Yosuke Nagao
    Naoyuki Chikatani
    ESME MORI
    Seiya Suzuki

  • Interview & Text

    Kentaro Okumura

  • Edit

    Kohei Yagi
    Hanako Yamaura

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