Helixes×BANDAI SPIRITS「コンテンツへの深い知見と理解が、世界に届く商品を産む」
2020.08.07
Helixes Inc.のメンバーやそのマインドについて発信していく「Helixes.log」。
今回は、週刊少年ジャンプのヒットタイトルのロゴをフィギュア化する「ロゴキカク」というプロジェクトを皮切りに、今も多数のプロジェクトを共にしている株式会社BANDAI SPIRITSプライズグローバル部の阪田さんをお迎えしました。Helixesからは、代表の志村とデザイナーの南浦が参加し、出会いからお互いの印象や実際の仕事ぶりまで赤裸々に語っています。
Helixesの普段の仕事からは、一見遠いように思えるおもちゃ業界。異業種だからこそ生み出せる相乗効果の裏には、カルチャーへの知見がありました。
売れているときにこそ、新しい一手を打つ
ー阪田さんのBANDAI SPIRITS社内での役割と、お仕事の内容を教えてください。
阪田典彦(以下、阪田) プロデューサーとして、クレーンゲームの景品や、海外物販のフィギュアの企画開発に携わってきました。もう19年になりますね。アニメや映画のキャラクター、例えば「ONE PIECE」「ドラゴンボール」「鬼滅の刃」といったジャンプ系のフィギュアを中心に企画しています。
基本的に縛りはないのでやろうと思えば何でも企画できますが、今私のいる部署が力を入れているのは海外の市場。なので、日本のキャラクターで一番海外に通用しやすいジャンプ系がメインになっています。
ーmaxillaと出会ったきっかけは?
阪田 共通の知人から「とにかくすごいやつがいるから会わせたい」と言われ、会ってみたいなと思ったので紹介してもらいました。そこに現れたのが(志村)龍之介君でした。
おもちゃ業界からすると、音楽や映像の業界は縁の遠い世界。それが僕にとっては刺激的で。それと、僕よりも10歳ほど若くて、世の中にかっこいい作品を生み出し活躍している人たちの才能を、おもちゃ業界にも何らかの形で活かせないかなと思ったんです。私のようにその分野に詳しくない人でもわかる、著名なアーティストやブランドの映像を作っていたというのも大きかったですね。
最初のうちは仕事を頼んだりはせず、ただmaxillaの飲み会によくお邪魔していただけ。なので、皆さんには「なんだこいつ」って思われてたんじゃないかなと。
その後、(南浦)聡介君にある案件のデザインをお願いしたのが、初めてのお仕事です。おもちゃ業界の企画って、やり方が固まっていて変化に乏しい。そこで、異業種でデザイン性に優れた会社にお願いしたらどんなものがあがってくるのかを見てみたかったんです。
同時期に「週刊少年ジャンプ50周年」の企画を立てる必要があって、maxillaにどんなことができるかと相談しました。
南浦聡介(以下、南浦) 当時準備していたストリートブランド「名/NA」もIPを使ってアパレルを展開するものだったのですが、IPに関する知見がなかったため、阪田さんに商標周りの注意点やIPを保有するブランドとの効果的な交渉方法など、いろいろと教えていただきました。頻繁にやり取りしている中で、仕事のお話もいただいたという流れですね。
ー相談した当時、どんなことをmaxillaに期待していましたか?
阪田 今までのおもちゃ業界では出てこなかった発想を求めていました。僕たちが扱っている商品はキャラクターの人気やパワーがとても強いお陰で、普通に企画すれば一定数売れるんですね。
ただ、これは私の個人的な持論ですが「売れているときにこそ、新しいものを試す」というのがあって。商品力や、商品ブランドが弱くなり売れなくなったときに打つ手がなくなるのが一番怖い。だから売れている間に新しい一手を打つことを心がけています。その1つが、maxillaに頼むことでした。彼らの普段の格好や映像を見ていて、かっこいいと思ってもらえるものができると信じていたので。
ー週刊少年ジャンプ50周年を記念した「ロゴキカク」のコンセプトを教えてください。
南浦 作品の象徴であるロゴをフィギュア化するという、シンプルな企画です。ロゴには、作品のストーリーや、目指すべき将来像が込められているはず。50周年に際し、作品のロゴをフィギュア化することで、ファンの方に末長く喜んでもらいたいという思いを込めました。言ってしまえば「ロゴデータのZ軸を伸ばす(立体化する)だけ」なんですが、作品へのリスペクトを込めて、一切余計な要素を入れない形にしたんです。
そもそも、フィギュアやキャラクターのビジネスは、キャラクターのパワーを押し出すのが一番。だから作品が持っている雰囲気よりも、とにかくキャラクターの「顔」をたくさん出すことが多い。そこに対しての、僕らなりのアプローチが「名/NA」だったんです。それで「名/NAにもフィギュアがあったら面白いよね」と阪田さんからアイデアを頂いて、それがこの企画の大本になっています。
阪田 確かに、漫画の商品を作るなら人気のキャラクターのフィギュアを売った方が早いし、わかりやすいですからね。ロゴキカクでは約40タイトルほどのロゴを作ったんですが、営業からは大反対され、集英社さんからは「本気ですか?」と言われましたよ(笑)。
でも、私は売れるはずだと予測していました。というのも、それまで国内ではロゴのフィギュアを見たことはありませんでしたが、マクドナルドやスターウォーズなど海外の作品のものはありましたし、ここ数十年、ロゴもののTシャツがたくさん売れている傾向にあったので。
実際、発表後の評判もとてもよかったです。周年モノなので単発の企画でしたが、キーとなる作品でフィギュア化するときには、シリーズの中にロゴだけのものを入れるなど「ロゴキカク」の考え方を部分的に取り入れるようになりました。
カルチャーコンテンツに深いHelixesの知見を活かした商品開発
ーそのロゴキカク以降も、さまざまなプロジェクトを一緒に作ってきていると伺っています。お互いのどんな部分がシンクロしていると感じますか?
志村龍之介(以下、志村) 僕たちと阪田さんは、変えよう/変わろうとしていることが共通点。僕たちはビデオプロダクションから始まった会社のスタイルや、やり方を変えてきているし、阪田さんは常に前に進んで行く精神を持ちながら、BANDAI SPIRITSの中で新しいトライを模索している。その上で「何をかっこいいとするか」という、感覚の部分も通じるところがあるから、ずっと一緒にお仕事をしているんだと思います。
阪田 そうかもしれませんね。実は今も、BANDAI SPIRITSの社内にHelixesのメンバーが1人常駐していて、一緒に商品開発を進めているんですよ。
志村 やりとりがとても多いので、もはや常駐した方が早いんじゃないかって、僕たちからお願いしたんですよね。
阪田 商品開発は、権利を取得するための交渉から始まります。例えばそれが海外のゲームやNetflixにあるタイトルだったとき、うちの社内ではそのコンテンツを知っている人が少ない。その一方で、Helixesのメンバーは当然のようにNetflixを観ているし、海外のゲームに関する情報も早い。それだけじゃなく、オタク系、映画系、アーティスト系など、ジャンル別に詳しい人がいるんです。slackの中で各ジャンルごとにスレッドが立てられていて、情報共有が行われているらしくって。こういう知見って、私たちからすれば想像以上の武器ですよ。
志村 社内の誰かが調べたり、能動的に動いた結果を共有しないのはもったいないですよね。Helixesのslackにはリサーチしたものを貯めてくチャンネルや、美味しいご飯屋さんを貼るチャンネルなど、細分化して運用していて。誰かが動いた分を、ほかの誰かが使えるようにしよう、という考え方でオープンソース化を進めています。
阪田 なので、Helixesには版権元と交渉するための資料づくりの段階からお願いしています。ありがたいことに様々なメーカーさんからタイトルのご案内をいただくことが多いのですが、我々がそのすごさを分からず、これまでたくさんのチャンスをスルーしてきたはず。世界に打って出ようとしている今こそ、フレッシュで感度の高い引き出しが必要なんです。
おもちゃ業界は体質が古くて、広告を打つといえばテレビCMだし、実際それで成功してきました。でも逆に言うと、WEB施策など新しい手法への一手が打ちにくい。
Helixesは、うちの業界ではまだ取り入れられていない、今トレンドのマーケティング手法や広告の戦術に関する知識を豊富に持っています。開発だけではなく販促に関しても、イチから構築してもらっています。
志村 僕たちとしても、BANDAI SPIRITSさんとのお仕事でコミュニケーション領域を越えた部分でも関わらせてもらっていて、学びになることが多いです。コミュニケーション領域のノウハウは、なにをやるにも重要。この力を軸に、一緒に前に進んでいける人たちとお仕事をしていきたいですね。
阪田 発注させていただく我々がよく抱くジレンマとして、企画や発売、そしてその後のフォローという業務が切り売りの発注になってしまうという点があるんです。色々な事情を説明しながら、毎回いろんな会社さんにお願いするのが、実はめちゃくちゃ大変で。今のBANDAI SPIRITSとHelixesの関係値だと一気通貫してお願いできているから無駄がないし、シンクロできることで新しい発想が生まれる可能性があがるかもしれない。これは強いなぁと思います。
ー最後に、今後実現したいことがあれば教えてください。
阪田 たくさんありますね。Helixesとも、いろんなことを一緒にやりたいなぁと日々アイディアが沸いてきます。BANDAI SPIRITSの強いところは、とにかく集まってくる情報量が多いこと。そういう意味でも、やれることはまだまだ多いはずです。今仕込んでいるものだと、来年や再来年に発表できる案件が多いですね。それが花開いたら、きっとまた新しいことをやりたくなるんだろうなって思います。
南浦 今、一緒に準備しているものは、全部「実現したらやばい!」ってレベルのもので、とても楽しみにしています。僕はもともとおもちゃ業界に行きたいと思っていた頃もあったので、お仕事で関われるだけで嬉しいですね。
阪田 日々のHelixesとのつながりの中で、世界に通用する商品をどんどん出せたらおもしろいですよね。そしたら販促でも開発でも、やれることがもっと増えてくる。ちょっとずつ全方位的に成長していけたら楽しいでしょうね。
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Speaker
Norihiko Sakata
Ryunosuke Shimura
Sosuke Minamiura -
Interview & Text
Kentaro Okumura
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Edit
Mami Sonokawa
Akiko Watanabe
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