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maxilla × Mika Pikazo |ファンが喜ぶ体験を最優先に。1.5万人を動員した〈物語〉シリーズPOP-UPの裏側

2026.01.19

Helixes Inc.のメンバーやそのマインドについて発信していく「Helixes.log」。
今回は、2024年5月3日から15日まで、秋葉原・アキバCOギャラリーで開催された「〈物語〉シリーズ × Mika Pikazo POP-UP『ENCOUNTER 遭遇』」を取り上げます。西尾維新原作のアニメシリーズの15周年を記念したこのイベントは、延べ1.5万人を動員。企画から運営までを手がけたmaxillaと、Mika Pikazoさんが、多くのファンの心を動かしたコラボレーションの裏側を話します。
※本記事は、2025年12月18日に開催された「maxilla Year End Party 2025 "DEL TORO vol.4"」内のトークセッションを基に構成しています。

─まず、このコラボレーションの概要を教えてください。

maxilla・大地 このプロジェクトは、『ENCOUNTER 遭遇』というコンセプトのもと、「〈物語〉シリーズ」とMika Pikazoさんの“出会い”をテーマにした空間演出を展開したものです。そのため、単にMika Pikazoさんに絵を描いてもらうだけではなく、約1年間、企画から展示の設計、プロモーションの方向性まで、一緒につくり上げていきました。

─ 今回の企画で最初に制作したキービジュアルについて、どのように進めていきましたか?

maxilla・AVO キービジュアルは、秋葉原で撮影した実写の背景に、Mikaさんのイラストと3Dを組み合わせて制作しました。最初は田中から「アキバに撮りに行くぞ」っていきなり言われて、何のことだろうと(笑)。Mikaさんに描いていただいたラフをいくつか見せてもらった上で、背景として合うロケーションを見に行こうという流れでした。どのラフも最高にかっこよかったので、背景でいろいろ遊べたらいいなと話していて、実際に撮影しに行ってから3Dを足していきました。

Mika このキービジュアルが一番気に入っています。私一人で描いたわけじゃなくて、AVOさんが撮った写真に3Dを重ねてもらって。〈物語〉シリーズの世界観を秋葉原でどう表現するか、何度もラリーしながら一緒につくりました。AVOさんとは初対面だったんですが、すごくやりやすくて、いいものになるなという直感がありました。

─ 一緒にイラストを制作していくという経験は、Mikaさんにとって珍しいことだったのでしょうか?

Mika 基本的には一人で描くことが多いので、こうした形のコラボレーションはあまりないですね。今回は〈物語〉シリーズというIPがある前提で、架空の世界を秋葉原に重ねていく。アニメの中の世界だけど、秋葉原にも〈物語〉がちゃんとある、という感覚を出したかったんです。

─ 展示会場の設計についても、初めての経験だったとのことですが。

AVO 展示設計は店舗の小さなコーナー程度しかやったことがなかったのですが、テーマ性のある空間を動線まで含めて考えるのは初めてで。ただ、3D制作で培ってきたことを応用しながら、Mikaさんや郡司がアイデアをくれたので、割とすんなり形になりましたね。

Mika AVOさんは展示設計の経験も豊富なのかなと思って話していたので、実は初めてだったと聞いて驚きました。初めてとは思えないクオリティでしたね。

大地 Mikaさんは個展の経験が豊富なので、人の動かし方や動線について、本当にありがたい意見をもらいました。入って、奥まで進んでいく仕掛けにしたので、皆さん世界観に没入して楽しんでくれたんじゃないかなと思います。

Mika 入り口から全ての作品が見渡せる構成ではなく、洞窟とか、お化け屋敷のような迷路っぽい構造にしようと。考えるのが楽しかったです。

─ 展示会場だけではなく、グッズやパンフレットなど本企画にまつわるデザインはすべて郡司さんが担当されました。制作を振り返ってみていかがでしたか?

maxilla・郡司 自分なりにいいものを作ろうと思って出して、Mikaさんに説明するんですが、そこに対してポジティブな意見をいただけることが多くて、すごくありがたかったです。

Mika 郡司さんから上がってくるデザインは、一発で「いいですね」となることがほとんどで、修正をお願いした記憶がないんです。毎回「めちゃくちゃいいな!」と思っていました。

郡司 お互いのベストを出せば、すっと通る。グッズも施工デザインもそうした進め方ができたのは良かったですね。

─ IPとのコラボレーションで意識していることは何ですか?

Mika 普段の仕事では「Mika Pikazoらしさを出してほしい」と言われることが多いんです。でも〈物語〉シリーズのように、すでに世界観やキャラクターができあがっている作品の場合は考え方が変わります。その作品を好きなファンのために、ファンが最初に喜んでくれるものを作りたい。IPが持っている良さをまず出して、その次に自分らしさや個性を出す、という順番を意識しています。

郡司 普段仕事として関わるのは人気ある作品が多いのですが、誰かが好きということは、そこに必ず魅力があるということ。自分が知らない作品でも、まず好きになってみる、魅力を探すところから入る。そこは普段から意識しています。社内には音楽好きな人が多くて、例えば松野(maxilla・アートディレクター)に突然ラウドロックのバンドを勧められたりするんですよね。全然知らなくても、聴いてみると「こういうところがかっこいいのか」とわかる。だから何にでも触れてみるチャレンジ精神は大事なのかなと。

─ そうした姿勢は、maxillaの仕事全体にも通じるものがありそうですね。

Mika 実は、それについてmaxillaさんに聞きたいことがあって。高校時代にバンドをやっていたんですが、洋楽好きってニッチな方向に行きがちですよね。「俺はこのマイナーなバンドを知ってる」みたいな。サブカルチャーにはそういう良さもあると思うんですけど、私はニッチも王道も、どちらも好きなんです。 maxillaさんは、ニッチなものが好きな人が集まっているのに、ONE PIECEやたまごっちのような王道の作品に、アンダーグラウンドを感じさせる要素を入れている気がして。そこは意識されていますか?

大地 そこまで意識してはいないかもしれません。作品の本質にあるかっこよさや美しさを、僕らなりに解釈して表現している。リスペクトを持って、ということだと思います。

Mika なるほど。私も今回は王道で真正面から行こうとか、逆にちょっと自分らしくない絵を描いていこうとか、バランスを意識しているところはあります。

郡司 根本にある良さって、ジャンルを超えて共通していたりしますよね。そこが掴めるといろんなものを好きになれるし、自分が作るときの軸にもなるなと思ったり。

─ 最後にMikaさんに聞きたいのですが、もし今10代だったとしても、イラストレーターを目指しますか?

Mika 今の時代は本当にいろんなテクノロジーが生まれていますけど、私はやっぱり絵を描きたいと思います。バンドに憧れたこともあったし、全然違うものもいいなと思ったんですけど、なぜ絵が面白いかというと、イラストやキャラクターデザインって最初は平面なんですよね。それがアニメになって動いたり、私が手がけた任天堂の『ファイアーエンブレム』では自分が作ったキャラが3Dになって戦ったり、掛け合いをしたり。VTuberの場合は、勝手にキャラクターが独り歩きしていきます。アニメのキャラクターは人格が決まっているけど、VTuberは未知というか、配信でどんどん人格が見えてきて、数ヶ月、数年経ってわかる面白さがある。自分が作ったものが、いろんな人のチームによってどんどん出来上がっていくのが楽しい。だから今10代でも、絵を描きたいって絶対思うはずです。

─ありがとうございました!

  • Speaker

    Mika Pikazo
    Akira Gunji
    AVO
    Daichi Tanaka

  • Text

    Kentaro Okumura
     

  • Edit

    Riko Nakagawa

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