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ストライプス×360Channel×Helixes「軸を見つめ直し、いかに生まれ変われるか」

2020.08.28

Helixes Inc.のメンバーやそのマインドについて発信していく「Helixes.log」。

今回は、TVCMからインタラクティブコンテンツまで幅広く手掛ける株式会社ストライプスの遠藤さんと、360度動画やVRに特化した事業を展開する株式会社360Channelの竹原さんを迎えてお送りします。

お二人は、Helixesの八木と松野が背中を追いかけてきた映像業界の先輩でもあり、長きにわたってお仕事を共にさせて頂いた仲。両者の関係性を紐解きながら、大きな変化の中にある今、それぞれが考えるビジョンを伺いました。

「あの秘密兵器を出しますか」

360 Channel 竹原(以下、竹原) 私は現在360Channelという、VRの制作受託とコンテンツ配信の事業をしている会社でプロデューサーをしています。もともとは、エンジンフイルムというコマーシャルプロダクションの会社で9年ほどプロダクションマネージャーを務めていました。その後3年ほどストライプスという遠藤さんの会社に所属し、現在が360Channelという流れです。

ストライプス 遠藤(以下、遠藤) 私はエンジンフイルムに入社した後、インタラクティブな映像表現を得意とするエンジンプラスという会社に入りました。その後独立してストライプスという会社を作って、ちょうど5年目。そこで代表取締役社長をしています。

左:ストライプス 遠藤さん、右:360 Channel 竹原さん

ー一緒に働かれていたご経歴もあるんですね。お二人とmaxillaが知り合ったきっかけを教えてください。

​​​​​​​Helixes 八木(以下、八木) (maxillaとして)4年目くらいの、ミュージックビデオをたくさん作っていた頃でしょうか。広告制作をもっとやっていこうとさまざまな会社に営業をしていたのですが、その流れで、ある会社さんがうちのことをエンジンフイルムさんに紹介してくれたのだと思います。

竹原 僕がエンジンフイルムの頃ですね。「maxillaというイケている人たちがいるから声かけてほしい」と言われて連絡した気がします。あの時は、みなさん確か22歳くらいでしたよね。

八木 そうでしたね。ご連絡をいただいて、僕と松野で打ち合わせに行きました。会議室に強面のおじさんがずらっと並んで待っていて、すごく怖かったです(笑)。ちゃんとした広告の打ち合わせは、あれが初めてだったんですよ。

遠藤 僕はタケ(竹原)に紹介してもらったんじゃなかったかな。喫煙所にいた二人をみて「なんだこの元気な大学生たちは」って思いました。

八木 もう社会人でしたよ!完全に学生扱いじゃないですか(笑)。

遠藤 (笑)。その時が初めての出会いでした。私がお願いしたのは、ラグビー日本代表を宮崎で撮影した案件が最初だと思います。

Helixes 松野(以下、松野) スポーツくじの「toto」のウェブCMですよね。ラグビー日本代表の合宿に密着する形で4日間撮影し、ワールドカップに向けてtotoの認知拡大を促す案件でした。

toto ウェブCM

ーその後も継続的にお仕事をされているとのことですが、八木さんや松野さんと、お二人の関係性を教えてください。

松野 (八木)光平にとって、竹原さんはプロデューサー業としての師匠ですよね。

八木 そうです。「先輩」や「上司」が社内にいない環境でやってきた僕たちにとって、仕事のお手本となったのがお二人でした。竹原さんからは、プロダクションマネージャーやプロデューサーがどう動くものかをかなり勉強させてもらったので、本当に師匠だと思っています。プロデューサーとしてとても信頼しているので、案件の規模感が社内では手に負えないときなどにも声をかけさせてもらっています。

竹原 師匠だなんて驚きです。八木さんから某航空会社のお仕事を依頼いただいて、プロデューサーの名刺を持ってから10年弱、一緒に成長してきたと感じています。そういえば、Helixesになる前は「秘密兵器」みたいな言われ方をよくしていたなと、今思い出しました。

ー秘密兵器ですか(笑)。

竹原 当時のmaxillaはミュージックビデオこそ相当な量を作っていましたが、広告案件の経験値が少なく、代理店やクライアントの人たちへの知名度が低かったんです。それを逆手にとる形で、クライアントから「誰か新しい、おすすめの人はいませんか?」と言われた時に「よし、じゃあこの秘密兵器を出しますか」みたいな感じで、声を掛けたことがありました(笑)。

八木 遠藤さんとは時々2人でご飯に行くこともあって、現場のことよりも特に経営やマネジメントについて相談させてもらったりしてきました。

遠藤 今やHelixesのほうがうちより規模が大きいですからね。そういう意味では彼らのほうが先輩です。maxillaと初めて出会った時「こういう人が出てきたんだ」という感覚を強く持ったことを覚えています。​​​​​​​

ー “こういう人” というと…?

遠藤 竹原も僕も、フィルムで映像を回していた最後の世代なんです。フィルムの撮影ってものすごく大変で、通常の映像フィルムだと1本で4分半しか回せません。頻繁にフィルムチェンジしないといけないですし、その交換に10分ほどかかる。なので、例えば有名なタレントが出演する映像の場合、かなり綿密に打ち合わせや準備をして臨むことになります。タイトルを作るにしても、専門の職人が手作業で作って、それを編集機に取り込んでいるような時代でした。

そういう「職人」の仕事だと思っていたのに、ついに自分たちでカメラを回して、編集して完パケてしまう、というmaxillaのような人たちが現れたわけです。

ーその時代の変わり目のようなものを見たということですね。

遠藤 そうですね。だって、もともと松野さんはグラフィックをやっていて、そこから仲間にお願いされてカメラを回すようになったんですよね。成り立ちからして、私たちとは全く違います。

自分たちにとっての「軸」を見つめ直すとき

ー3社ともに大きなプロジェクトが多いと思いますが、チームで意思疎通をしっかり行うために気を付けていることはありますか?

竹原 テクニカルなことも重要ですが、やはり信頼の元になるのは時間を共に過ごすことです。ご飯を食べたり、何かを一緒にしたりする時間は、コロナ以降さらに尊いものになってきていると思います。時間を共にすごすことでその人を知り、プロジェクトの雰囲気が良くなっていく。それがコンテンツにも波及し、アウトプットとしてクライアントにも還元される。それこそが「チーム力」なのではないでしょうか。

松野 私の場合、ディレクターという立場でお仕事をすることがほとんどです。プロダクション全体において、座組や人員、指示系統がどうなっているか、また自分がどの位置にいて、何をしなければいけなくて、何を求められているかしっかり把握するのが大切ですね。最終的なゴールをディレクションするのは、自分だからです。

あとは人としっかりコミュニケーションを取り、できるだけ仲良くなること。失礼のないようにすることでしょうか。恥ずかしながら若い頃は竹原さんや遠藤さんとのお仕事で、何度か失礼なことをしてしまったので…。

八木 僕も、遠藤さんにも竹原さんにもたくさん怒られましたからね。

竹原 怒ってないですよ(笑)。

八木 たしなめられるというか(笑)。でも、社外の人に怒られることってなかなかないじゃないですか。怒るようなことがあったら次回頼まなければいいし、怒ることって心のリソースを使いますから。それをきちんと怒ってくれて、さらにその後も頼んでくれるということに、信頼を感じますし、ありがたい話だなと思います。

ー長年映像を軸にお仕事されてきました。昨今の状況の変化から、どんな見通しを立てていますか?

遠藤 ストライプスはCMやWeb広告を主に制作していますが、今のリモート環境によってクライアントとのコンタクトポイントが減ってきており、なかなか成立しづらい状況です。その点、Helixesが素晴らしいのは、立ち位置を少しずつずらして、映像以外へと事業の範囲を広げていること。私は未だに「Reclike」(※)を愛用していますよ。

私たちは今は新規事業に投資できるほどの体力がないため、社内のリソースを使って、YouTuberのプロデュースや、アバターの開発、オウンド事業のテクニカルで入るなど、トライ&エラーを繰り返している最中です。

(※)インターネット上のお気に入り動画を管理・共有するWebサービス。

竹原 私はずっと映像の仕事に携わってきましたが、やはりリアルで撮影して編集するような案件は減っていて、バーチャルのほうが増えてきています。リアルのほうは元に完全には戻らないでしょうから、6〜7割ほどをベースとし、残り3〜4割でバーチャル空間や生配信の事業をやっていこうと思っています。

360 channel 社内の風景

八木 すでに他の記事などでも出していますが、Helixesは以前から商流のレイヤーを1つ上げて、エージェンシーとしてお仕事に関わる動きをしたり、制作やクリエイティブ以外の路線をということで、今も新しい事業の開発を進めています。この状況下で、これまで通りやっていくのは一番ナンセンスで、むしろこの流れに乗ってどれぐらい変われるかだと思います。もちろん、これまでのことを捨てるというわけではなく、軸足をきちんと持ったままどれだけ変われるか、というところが重要ですね。

竹原 そうそう、この際だから皆さんに色々と聞きたいのですが、まず、私はストライプスのブランディングに興味があるんです。今後、遠藤さんはどんなふうに会社を広めようとしているのでしょうか?

遠藤 実は私はここ1年でサウナにハマって、サウナの事業を進めたいと思っていたんです。会社の仕事はなるべくみんなに任せて、私は他の事業をやっていこうと。今まで仕事に没頭し過ぎて、遊びの部分が足りていなかった気がしていたし、自社内の開発を進めたかったんです。去年に最高益だったこともあって、今期フルスロットルで行こうとしていたら、コロナになってしまった。

八木 本当に、タイミングですね……。

遠藤 ただ、これも神様が残した課題だなと思っています。もともとうちは受託が多く、自社内で開発することが少なかったので……その点もHelixesの尊敬できるところなんですよね。自分たちで何とかする体力を身につける時期にきているのかなと思います。

ストライプスの設立メンバー

竹原 松野さんはどういうディレクターになりたいですか?

松野 八木が言ったように、今は会社として商流のレイヤーをあげようという動きをとっているので、そこにフィットするような人間になっていきたいと思っています。クリエイティブディレクターとして、もっとしっかりできるようになりたいなと。

竹原 いつも思いますが、ディレクターはインプットがないとアウトプットできないですよね。そこって、体力勝負じゃないですか?

松野 そうですね。案件が立てこむと、常にアウトプットしていないとスケジュールに間に合いません。そうなると、インプット不足によって体力が削られるというか、アイデアが枯渇してします。

いいクリエイティブを作るためには、このバランスを上手くコントロールして保つことが重要だと思います。そうは思いつつ、アウトプットが重なりまくってどうにもできない時もあります。「この時間はインプットに使う」と決めて時間を切り分けていく以外ないのかなと。

竹原 なるほど。今、あらゆる業界でオートメーション化がどんどん進んでいますよね。映像やコピーライティングなども、何年後かにはもしかしたら機械によってできるようになるんじゃないかって思います。そうなった時、ディレクターやプランナーのインプットはどうなるかという点に興味があるんですよ。

松野 難しいですよね。そもそも、今は映像作家やプロダクションも増えて、業界自体が飽和してきている印象があります。その結果、映像が簡単なものというか「(すぐに)作れるでしょ」と思われるようになってきている。でも、1本作るためにアイデアをひねり出したいり、プランを立てる労力は昔から変わりません。そのギャップの中で、期待を超えるクリエイティブを作っていくのはなかなか大変なことだと思います。

竹原 アイデアが大事ですね。

松野 そうですね。それと、視点が大切です。新しい技術やアイデアをどう見るのか、という点も考えながらインプットしないと、ただ流し込むだけになってしまいます。さっきの話にも出てきましたが、やはり今は会社も個人もそれぞれにとっての「軸」が何なのか、見つめ直すいいタイミングにきているんだと思います。

  • Speaker

    Kota Endo
    Daisuke Takahara
    Kohei Yagi
    Takahito Matsuno

  • Interview & Text

    Kentaro Okumura

  • Edit

    Mami Sonokawa
    Akiko Watanabe

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