Helixes log

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SIRUP × Masaki Watanabe: アーティストとディレクターが選ぶ3作品

2024.12.28

Helixes Inc.のメンバーやそのマインドについて発信していく「Helixes.log」。

CDジャケット、MV、アルバムのティーザームービー、ライブ演出、グッズなど、過去数年に渡って多くの作品をともに作ってきた、SIRUPとmaxilla所属のディレクター・Masaki Watanabe。今回はHelixes.log特別編として、二人がこれまでのなかで特に印象深い作品をピックアップ。制作時の思いを振り返ってもらいながら、これまでのあゆみに触れます。

Online feat. ROMderful(Music Video)

SIRUP:「Online」は、もうシンプルに大好きっていうか。自分の中でも歴史に残っていて、今もたまに見返します。やりたいと思っていたことが隅々までハマったし、作りたい世界観が社会の動きとも合ったタイミングでできたことが大きかったです。

Masaki Watanabe(以下Masaki):SIRUPさんとはそれまでにもお仕事はご一緒していたんですけど、実写の撮影も、実際に会うのもこのMVが初めてでした。アニメーションと実写を同時に考えながら進行するという、テクニカルな部分では結構複雑なことをしていて、とにかくがむしゃらにやった記憶があります。その甲斐あって近しい人たちの評判もすごく高くて、この完成度が今の自分のひとつの指標になっています。

SIRUP:プロップをかなり細かく作ってくれたんですけど、それが作品の奥行きになっていますよね。自分的にはとても嬉しかったポイント。

Masaki:コロナ禍でオンラインでしか会えない頃だったんですけど、その象徴として段ボールがあるよねって話になって。みんな、やたら配達を頼んで無駄遣いするときだったじゃないですか。

SIRUP:そうそう。それを聞いて「あ〜、僕の家にもめっちゃあるわ、段ボール」って。

Masaki:それで、段ボールがたくさん積まれているのはどうか、と。SIRUPさんは曲ごとのイメージがしっかりとある方で、イメージを一緒に重ねていくことができました。

SIRUP 5th Anniversary Special Live 「Roll & Bounce」

SIRUP: これを選んだのは「武道館だから」というのも個人としてはありますけど、ここでも(Masakiさんに)想像していなかったものを見せてもらえたなって。

Masaki:文字通り弾けるとか躍動感みたいなテーマがあったので、そのイメージからロゴや全体の演出プランを提案させてもらいました。やることは膨大で、めちゃくちゃ大変……というか、僕が勝手に自分を追い込んでたんです。言い方が合ってるかわからないんですけど、気持ち的にはSIRUPさんの武道館でもあったし、僕の武道館でもある!って。1週間くらいほとんど帰らずにずっと作業していました。当日の朝まで詰めて現場入りして、ライブの最初の曲「ONE DAY」が始まり、お客さんの歓声が聞こえて、SIRUPさんの全身が映った時、中継車でなんだかわからないけどぶわぁーーって泣いて。横に大人がたくさんいるなかでバレないように号泣(笑)。

SIRUP:(笑)。ようやくライブにもお客さんをちゃんと入れられるようになって、何かが明らかに変わっていくタイミングでしたよね。世界には問題が山積みだけど、楽しむことを忘れないで人生を送ろう、「弾けちゃだめ」な空気があったけど、あえて弾けていこうっていう意味での、Roll and Bounce。ほんと、いろんなことが重なっていたライブでした。

もともと、僕は映像などの演出は控えめなほうがいい、って思っていたんです。そのあたり変にストイックというか、「バンドと歌で説得力を」みたいなところがあった。それが徐々に(実力は)そこで誇示しなくてもいいと思えてきて、表現の幅が広がっていた頃でした。武道館というのもあったけど、タイミング的に「せっかくやるんだから」という気持ちの人が集まってくれていたんだと思います。

BLUE BLUR

SIRUP:いっぱい一緒に作ってきたものはあるけど、「BLUE BLUR」はとくにクリエイティブが爆発している感じがあるんですよね。プロップも、めっちゃくちゃ膨大な数を作ってくれて。

Masaki:美術の金子恵美さんは僕の映像初現場からお願いしている、ほんとお姉さんって感じで頼っている方で、SIRUPさんでは「Online」もそうだし「2MANYTIMES」なども担当してもらっています。このときの撮影はやばかったですよね。(香盤が)激押ししたのに、誰も文句言わないどころか「もっとこうしたい」って。

SIRUP:すでにかなり深夜でまだ撮るものもあるのに、全員がテンション高くて。で、やっぱり写真のあがりも凄かった。ああいう撮影をずっとやっていたいなぁ。

Masaki:金子さんにはいつも甘えていますけど、SIRUPさんの曲ももちろん好きだし、このメンバーだからってことで、とくに粘ってくれたところもあるはず。曲ごとにビジュアルを作ったり、細かく一つ一つこだわって作り上げられたのが個人的には良かったです。あと、ロゴもめちゃくちゃ気に入ってて。キーホルダーを親にあげちゃって、自分のがないので欲しいんですよね(笑)。


SIRUP
ラップと歌を自由に行き来するボーカルスタイルと、自身のルーツであるネオソウルやR&Bに
ゴスペルとHIPHOPを融合した、ジャンルにとらわれず洗練されたサウンドで、誰もがFEEL
GOODとなれる音楽を発信している。
2021年には2nd フルアルバム「cure」をリリースし、同年「FUJI ROCK FESTIVALʼ21」に、
国内のR&Bアーティストでは異例となる初出演でメインステージ GREENSTAGEに立ち、圧巻
のパフォーマンスを魅せた。
これまでにイギリス・韓国・オーストラリア・台湾などのアーティストとのコラボ曲をリリー
スしている他、アイリッシュ・ウイスキー「JAMESON」、オーディオブランド「BOSE」、自
動車メーカー「MINI」とのタイアップ、2022年には自身初となる日本武道館公演を開催するな
ど、日本を代表するR&Bシンガーとして音楽のみならず様々な分野でその活躍を広げている。
  • Speaker

    SIRUP
    Masaki Watanabe

  • Interview & Text

    Kentaro Okumura

  • Edit

    Kohei Yagi
    Kanako Himeno

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