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強みはオタク的分析力×市場の”足りない”を見つける視点──maxillaが見据える次の一手

2026.02.27

Helixes Inc.のメンバーやそのマインドについて発信していく「Helixes.log」。
今回は、maxilla Year End Party 2025 "DEL TORO vol.4"で行われたトークセッションの模様をお届けします。モデレーターをプロデューサーの中瀬が務め、プロダクション・プロデューサーの丸上、クリエイティブ・プロデューサー平嶋の3名が「maxillaって最近なにしてるの?」をテーマに、社内のオタク文化からIP開発の裏側まで語りました。

※本記事は、2025年12月18日に開催された「maxilla Year End Party 2025 "DEL TORO vol.4"」内のトークセッションを基に構成しています。

──maxillaは今年、MV制作に加えてイベントやテレビ番組制作、IP開発など活動の幅が広がっています。そもそもなぜこれほど多岐にわたるアウトプットが生まれるのでしょうか。

平嶋 日常的にオタクトークをしてるからだと思うんですよね。社内のSlackに「ランダム」チャンネルがあって、お笑いやアニメ、ゲームの話題をみんながとにかく貼るんです。そこからオタクトークが始まって「このシーンが良かった」「いや、あれはいらないでしょ」と、仕事でもないのになぜか議論していたり。

丸上 よくありますよね。僕がこの一年でmaxillaに入らせてもらって感じるのは、何かをちゃんと面白がる能力って年齢とともに枯れていきがちなんですけど、maxillaの人たちは「これおもろいよ」って思う気持ちがとても強い。その嗅覚と反応速度が日々洗練されていっているなと思います。手前味噌で恐縮なんですが、偏った熱量というか、偏愛的なものをみんなが持っているなと。

── メンバーそれぞれのオタクとしてのベクトルは違うと思うのですが、ご自身では何オタクだと思いますか。

丸上 かなりゲームオタクではあるなと思います。とくに、プレイステーション初代機のソフトに関してはなかなかのオタクだという自信があって。家に一人でいることが多かったので、ゲームや漫画に時間を費やした記憶が、今の自分の土台になっているなと思っています。

平嶋 僕はカルチャーオタク……ってずるい言い方なんですけど。特定の作品が好きというより、カルチャーの流れ全体を追いかけるタイプです。きっかけはOVAブームで、そこからニコニコ動画の流れが面白いなとか、同人からTYPE-MOONが生まれたんだなとか、そういうカルチャーの空気が好き。今はディズニーだったりジャンプ全体の流れだったり、マスIPの動向を全部追いかけています。

── そうしたオタク気質が、具体的にどうアウトプットにつながっていくのでしょうか。

平嶋 たとえばうちのディレクターとアニメの話をしても、「あのカットがやばかった」とか、映像的な視点で語る人がたくさんいる。そういう人たちが集まって「もっと良くなるんじゃない?」と議論するんです。よく出る言葉が「それ、ありきたりだよね」。ありきたりな正解は見えているけど、オタクだからこそ見飽きている。だから「昔のこれを今やったらすごく面白くなるんじゃない?」みたいな発想が出てくるんじゃないかなと。

丸上 「ありきたりじゃないもの」を探すという姿勢は、「アウトプットって映像でいいんだっけ?」という議論にもつながっていて。maxillaの中では日常的に、キャラクターの魅力をどう押し出すか、どういう露出が見たいかを映像に限らず考えています。

平嶋 人の作品で勝手に反省会をしてるよね。「あの戦闘シーンはかっこよかったけどストーリーが……」とか、「本当にいい作品なのに宣伝があれだよね」とか。オタクトークから反省点が勝手に見えてきて、「じゃあ自分たちだったらこうするよね」というトークまで毎回展開する。結局、仕事の依頼が来ても「これって、現状のママで面白いのか?」っていうところからスタートするのですが、マジでそこが源流だと思います。そして一方でマーケティングのフレームワークやユーザーの態度変容を考える大人な部分も併せ持っている。オタクの感覚と、ロジカルな視点の二面性がmaxillaの強みだと思います。

── 2025年の大きなトピックとして集英社との取り組み「CHOPPER’s」や、自社では「maxilla games」というブランドを立ち上げましたが、それぞれどのように生まれたのでしょうか。

平嶋 僕のようなカルチャーオタクってちょっとひん曲がったところがあって、普段から「なんでこのキャラクターって人気なんだろう」「どういう層に支持されているんだろう」と構造的に考えている。その延長で、集英社さんと「CHOPPER’s」のプロジェクトについて話をしていく中で、世界に目を広げたときにワンピースが届ききれていない空白地帯──女性や子どもといった層が見えてきたんです。

グローバルで見ても、歴史のあるIPが老若男女問わず再ブームになるケースがあって。このIPはどの層にウケたのか、どんな造形でどんなアクションを起こしたらエンゲージメントが高まるのかを様々なIPでオタク的に分析していたんです。なので、発端は集英社さんの市場理解と、maxillaのオタク力によるコンテンツ分析の掛け合わせだと思います。

そこから、SNSに詳しいメンバーや漫画に詳しいメンバーなど、社内のいろんな意見が集まって形作られていきました。アセットとしては「事業戦略」という言葉に集約されますけど、結局は「ここが足りないのでは?」というオタク的な視点が起点になっています。

丸上 「maxilla games」については、僕たちは長年ゲーム関連のコンテンツにも携わってきたんですが、その知見を活かす新たなフィールドとして始動させた形です。突然ゲーム領域に踏み込んだわけではなくて、これまでの映像制作で培ってきたものの延長線上にある。ゲーム業界にはパブリッシャーやデベロッパーという構造もあるので、あえてmaxillaではなく「maxilla games」という名前を冠させてもらいました。

平嶋 Steamにmaxillaの名前が載る日がくるなんて……! というのがまず嬉しいですよね。

丸上 制作スタッフは皆、ゲームへの深い愛とリスペクトを持ったメンバーばかりです。単なるビジネス手段としてゲームを選んだわけではなくて、ゲームファンとして実現したい夢がある。だからこそ、リスペクトするパートナーの大切なIPを最大限に活かして、ファンの皆さんに心から楽しんでいただけるコンテンツを届ける道を選びました。その第一作目として、eスポーツチーム・ZETA DIVISIONさんのマスコット「ZETAくん」に着目しました。「ゲーミングライフスタイルブランド」というZETAさんのコンセプトに寄り添い、デスクトップでZETAくんの日常を見守れるアプリ『with ZETA kun』を販売開始しました。敵を倒したりストーリーを進めるゲームではなくて、PCのデスクトップにインストールすると、ZETAくんが勝手にラーメンを食べたり、寝たり、ぴょこぴょこ動いたりしている。それをただ見守るだけのアプリです。ゲーム好きゆえに、そこにどれだけの手間と時間がかかるか痛感しているので、おいそれと参入しづらい領域ではありますが、まず一歩目として実現できたことをとても嬉しく思っています。

── 映像制作にとどまらず、さまざまな領域に挑戦しているmaxillaですが、今後の展望を聞かせてください。

平嶋 おかげさまで、映像を作る、クリエイティブを作る、宣伝を考える、企画を考える、商品化を考えるといった、それぞれの分野では実績を積んでこれたと思います。たとえるなら、SASUKEの山田勝己さんみたいに、庭に練習場を作って、それぞれの庭では完璧にできる状態。でもこれを最初から最後まで一本通してやるとなると、お金も体力も必要で、まだまだハードルはあります。

丸上 ゲームを作ったことのない我々に、自社キャラクターの第一歩を託してくれるなんて、普通に考えたらかなりの賭けだと思います。でも、庭での練習が認められたからこそ実現できた。ZETA DIVISIONさんのようにサポートしてくれる方々がいないと、庭から飛び出して完全制覇はできないので、本当に感謝しています。

平嶋 提供アセットを組み合わせた総合的な力でIP開発にもどんどん挑戦していきたいです。なにより、ファンの感情に刺さるものを最適な形で届けていけるチームでありたいですね。「映像を作りたい」というご依頼よりも、「こういうのがあって」「こんな世界にしたい」という雑多なご相談のほうが、きっとベストを叩き出せるチームだと思っています。来年もその先も、完全制覇を目指して挑戦していきます。

  • Speaker

    Jin Hirashima
    Shun Marugami
    Shiho Nakase

  • Text

    Kentaro Okumura
     

  • Edit

    Tomoya Hyodo

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